20世紀、人間はあまりにも多くの人々を戦いで失い、多くの環境を破壊してきました。経済効率第一主義が大きな原因と思われる弊害が、世界中のあちこちに吹き出しています。それは、環境や健康への影響に始まり私達の生活を取り巻く全般に及び、大変な力とスピードで世界中を覆いつつあります。
私達の身体の悲鳴や生命の叫びが、どこからともなく聞こえてきませんか。
本来、人間は自分の身体を通じて、他の生命体とのつながりを、感じていたはずです。その感覚をどこに忘れて来たのでしょう。その感覚を失っていなければ、歴史にあれだけ多くの残虐行為が残されているわけがありません。
当プロジェクトは、その失われつつある身体感覚を取り戻し、「良い姿勢」というイメージをもち、自己と世界の様々な姿勢に向き合う事で、人間と社会の変革をしていくことを目的としています。
「姿勢」は、身体姿勢に代表されるように人間の行為の原基的要素として重要であり、非常に具体的な形で立ち現れます。
また、人間の認識・存在・実践を問うとき「姿勢」が重要なファクターとなりうることにも気付かれると思います。
そして、また「良い姿勢」が良いことは、誰でも御存じの事と思います。
しかし、具体的に良い姿勢を問うと多くの疑問点にぶつかります。そこでプロジェクトは、旧来の見解を再考し、「本当に良い姿勢とは?」と問いなおしてみるこノより、人間と世界の新しい在り方の方向性を見い出していけたらと考えます。
崩れ行く姿勢は、限りなく「死」に近づき、
立上がる姿勢は、限りなく「生命」に近づく
やわらかな「死」への道を結果的に選択した私達に、今できることは、
自らの「身心の姿勢」を「生命」に向かって立ち上げなおす事ではないでしょうか。
私達の祖先が、ニ脚で立上がり、直立姿勢をとった時に見た、
「生命の輝き」を文化の中に再生する事ではないでしょうか。